インド北部のラダック地方の南東にある巨大な湖、ツォ・モリリ。その周辺、標高4500メートルから5000メートルに達する一帯には、何百頭もの家畜たちとともに暮らす遊牧民の人々が暮らしています。ある日の夕方、彼らが夏の間暮らしている場所を訪れてみました。
この地で暮らす遊牧民たちにとって欠かせない家畜の一つ、ヤク(毛長牛)。ヤクというのはこの動物の雄を指す名前で、雌はディモと呼ばれます。その長い毛は暖かな布地を織るのに使われ、乳や肉は貴重な食糧になります。ふんでさえ、乾かして火に投じればよく燃える燃料になるのです。
遊牧民の家族が暮らすテント。黒い布地は、ヤクやディモの毛を織って作ったものです。外側からはとても狭いテントに見えますが、中に入ると意外と広々としています。
ヤクの胃で作った革袋に乳を詰め、両手でゆすって撹拌している遊牧民の女性。こうして撹拌することで、乳からヨーグルトやバター、チーズを作るのだそうです。