南東アラスカの旅8
僕が寝泊まりしていたフレッズ・クリーク・キャビンの脇からは、クルーゾフ島の中央にそびえる休火山、エッジカム山に登るトレイルの入口があります。僕はこのトレイルを利用して、島の温帯雨林の森を散策しながら撮影をする、という日々を過ごしていました。
暗く鬱蒼とした森の中は、太く大きな木々から小さなコケに至るまで、死しては生まれる循環をくりかえす、無数の生命の気配に満ち満ちていました。
樹上に絡みついている糸状のものは、日本ではサルオガセ、霧藻(きりも)などと呼ばれる地衣類の一種です。木々に寄生しているのではなく、空気中の水分と光合成で生きています。英語では「Witches’ Hair」(魔女の髪)とも呼ばれているとか。