【新米ライターは見た!】ペルーアマゾンの旅 2
意外にも涼しい晩夏の朝だった。
道では川魚を葉に包んで焼いたものが煙と共にいい匂いを立てていたのでそれをいただくことにする。
でんっ。見てくれはナマズ。びよよん、とないがしろにされているヒゲがやや気になるが食らってみる。とにかくしょっぱい。だが味は白身魚そのものでうまい。塩気も付け合わせのバナナと食べると相殺され、一気に食べてしまった。
Davi’s Toursという旅行代理店の迎えが来る。この日はラグナ・アスルという湖への1Dayツアーに参加することにしていた。ラグナ・アスルとはスペイン語で青い湖という意味で、昨日カエル探しに連れて行ってくれたおっちゃんお勧めの湖。
いざ出発!
しばらく車で走るとワジャガ川という茶色に濁った川にぶつかる。この川をエンジン付きの大きな筏で車ごと渡る。よくある話だがこの手の公共交通機関(?)は基本的に乗員が定員に満たないうちは出発しない。
船着場の周辺には蛇や猿を抱えた地元民もいて、観光客の中には出艇を待つ間、動物と記念撮影をしている者もいる。もちろん有料だ。蛇は人気だったが、ただ猿に関しては完全にやる気を失っているので誰も撮ろうとしなかった。
川を渡りさらに奥地へ進むとラグナ・アスルが見えてくる。湖畔からさらに小舟で対岸に向かう。湖は丘に囲まれていて、風もなく静かだ。湖面は青空を写し、船の引き波はそこに墨流しの文様をあしらっている。
対岸に降りる。昼食までは少し時間があるので、あたりを散策した。民家の脇の木に繋がれていた猿がいたので写真に収める。どうやら渡河時に見た脱力系モンキーの成猿のようだ。
昔、夢中でページを繰った図鑑『世界のチョウ』から飛び出したような蝶々がそこここに舞っていて、つい夢中になる。
昼食を取りに戻ろうとすると、奇遇かな木につながれた猿も食事中。
撮る気もないのになんとなくカメラを構えて、数枚写真を撮った。
さっ昼飯だ、と振り返ると民家のおばちゃんがすぐ後ろに突っ立っていた。無言。
「こんにちは、なんでしょうか?」
「・・・・。5ソル」
「5ソル!?」
なんとこの猿の写真を撮るには撮影料が必要だったのだ。しかし、先ほど撮った時にはお咎めなしだったはずだ。
今考えると5ソル(約150円)なんてすぐに払えばよかった。しかし当時の私はペルーでの暮らしによる金銭感覚の現地化に加え、さらに旅行時によくあるぼったくりに嫌気がさしていたので食い下がってしまった。
「さっきは何も言わなかったじゃないか」
「今は食事中、だから5ソル」
そうか、これはオフショットだったのか!
私は妙に納得したのか、はたまたそうでないのかもわからずに5ソルを手渡した。しかし、時にお金というものはなんと人間をスポイルするものか。私は自分のみみっちさに耐えかねて5ソルを払ったのかもしれない。