「ロングトレイルを歩く意味」とは何か?インターナショナルアパラチアン・トレイルを歩き終えて考えたこと
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    2017.05.07

    「ロングトレイルを歩く意味」とは何か?インターナショナルアパラチアン・トレイルを歩き終えて考えたこと

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    【その先のアパラチアン・トレイルへVol.13】

    アパラチアン・トレイルの先にできた道は、アパラチアン・トレイルとはまったく違った道のりでした。とくに違うと感じたのは、統一した管理団体がないことでした。各地域で管理の仕方がバラバラ。ニューブラウンズウィック州に関しては、全てがダートロードと舗装路の道で、テントを張るにも危険が伴いました。

    歩くハイカーがいないのもうなずけます。

    僕はゴールをアパラチアン・トレイルと同じマウントカタディンしようと直前まで考えていました。しかし、インターナショナルアパラチアン・トレイルのゴールは、バクスター州立公園です。つなげて歩きたい気持ちはありましたが、現実にはつながっていない道をどうするか悩むこともありました。

    出した答えは、マウントカタディンには行かないという結論でした。インターナショナル・アパラチアン・トレイルを歩くハイカーの多くは、マウントカタディンでゴールしたり、逆にスタート地点にする人もいるそうです。

    しかし、僕は今まで歩いてきた道のりを考えると、つなげて歩く意味を見出せませんでした。マウントカタディンは、長く険しい3500kmの道のりを歩いてきたアパラチアン・トレイルのハイカーのためにあるのではないでしょうか。もしかしたら、インターナショナル・アパラチアン・トレイルのゴールがマウントカタディンに設定できなかったのには、舗装路の多い道のりや管理団体の体制などもあったのかもしれないと感じました。

    このまま、自分の満足感のために、ゴールをマウントカタディンにすることは、3500kmの道のりを歩いたハイカーに失礼な行為になると思えました。

    僕は、淡々とバクスター州立公園のボーダーにあるゴールでひっそり旅を終えよう。そう考えたのでした。

    インターナショナル・アパラチアン・トレイルのうわさはいろいろありましたが、個人的には歩いて自分の目で確かめて良かったと思います。

    トレイルをこれから日本に作ろうと考える僕にとっても、ハイカーとして舗装路を歩く意味についても決着がついたのではないかなと思います。

    やはり、舗装路は人間が歩くようにはできていません。足や腰にも負担がかかるし、日本でも安全とは言えません。仮に日本の国道のすぐ脇でテントを張っている人がいたらどう思いますか? きっと日本で同じことをしたら、問題になるのではないかと思います。

    誰の土地かも分からない場所でテントを張る行為は、海外では数段危険度が増します。また、道路を歩いていると、風景が1日中変わりません。文明社会を歩いているので、人や車にしか出会いません。

    僕個人的には、ハイウエイや舗装路は歩くべきではなく、テントを張ること自体しないほうがいいのではないかと思います。

    もし、そんな区間があれば公共交通機関を利用したり、ヒッチハイクしていいのだと思います。

    また、海外のハイカーの歩き方は自由です。本線のルートでなくてもこちらの道が近いからといって本線以外を歩く。僕にはスキルがないから、危険なこの山岳エリアは飛ばして歩く。遠回りでも、こちらの景色がいいからこっちを歩く。半分歩いたから、来年残りを歩く。

    トレイルを歩くハイカーは、重さでも分類されますが、人によって歩き方もさまざまあります。大切なのは、自然の中に身を置き、どう触れ合うかではないでしょうか?

    みなさんそれぞれが感じ、自分に合ったスタイルの歩き方をすればいいのだと思います。

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    決まったルールはありません。

    スキップしながら歩いても、誇らしく踏破したというアメリカのハイカーたちが愛おしい。なんて自由なんだろうと思います。日本人として生きてきた僕にはできないからこそ、うらやましくも感じます。

    でも、長い道のりの中で、自分自身が納得できればいいのではないでしょうか? もっと自由に自然を謳歌すればいいのだと思います。

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    トレイルは、神の領域に踏み込むのではなく、動物や植物の多く生息するエリアを歩く道のりです。だから、動物を知り、植物を知り、自然を知ることが重要になるのだと思います。
    まさに、自然と人間が上手に付き合っていくヒントがあるのではないでしょうか?

    インターナショナル・アパラチアン・トレイルを歩き終えた後、1つの情報を聞きました。アメリカにある企業が、バクスター州立公園付近の土地を大規模に買収したという話でした。

    この買収後の土地に新たにインターナショナル・アパラチアン・トレイルのルートを作るべく、調査が始まっているそうです。

    ルートができても、ルートはいつでも変更することは可能なのです。

    ここから新たな、インターナショナル・アパラチアン・トレイルの歴史が始まるのかもしれませんね。

    世界には歩く文化があって、いろいろな歩く道があります。まだ見ぬトレイルを実際に歩いて、また紹介できたらと思います。

    読んでいただいて、誠にありがとうございました。

    次回、またお伝えできることを祈りつつ。

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    LONG TRAIL HIKER 斉藤正史 ”MASA”

    (おわり)

     

     プロフィール

     

     

     

    【Profile】斉藤正史 

    山形県在住
    LONG TRAIL HIKER
    NPO法人山形ロングトレイル理事
    トレイルカルチャー普及のため国内外のトレイルを歩き、山形にトレイルを作る活動を行う。

    ブログ http://longtrailhikermasa.blog.fc2.com/
    山形ロングトレイル https://www.facebook.com/yamagatalongtrail

     

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