四国4県にまたがるへんろ道には、それぞれテーマがある。各ステージを重ねるごとに本格的な「お遍路さん」になる。
1番礼所から順番にまわる「順打ち」の場合、1番のある徳島県では「お遍路とはナンダ?」とおそるおそる寺を参拝していた人も、88番のある香川に入ると自分なりの答えが漠然とわかってくるだろう。
88か所のお寺。四国を外周するように点在している。一番離れている寺の距離は、高知県の足摺岬の80.7kmで、歩き遍路の場合は2〜3日かけてひたすら歩き続ける(画像は四国八十八ヶ所霊場会公式HPより)。
徳島県は「発心の道場」で、23か所の寺がある。「発心」とは、菩提(ぼだい)を求める心。お遍路をはじめる心と身体を準備するのにちょうどよい。1番「霊山寺」から11番「藤井寺」までは、歩き遍路でも1日に数か所はまわれる距離にあるので、達成感を得やすい。
1番は、徳島県の「霊山寺(りょうぜんじ)」。順番にまわる「順打ち」のスタート地点。お遍路をはじめる人が多いためか、他の礼所と比べるとにぎやか。
12番「焼山寺」までのへんろ道。「へんろころがし」と言われる最初の歩き遍路の難関で、11番までは足慣らしだったことに気づく。約12.7km。
焼山寺の道中で出会ったフランス人。日本を舞台に漫画を描きに四国へやって来たという。秋から冬にかけて、お遍路しているのはおじいさんが一番多く、次いでおばあさん、外国人。
24番から39番のある高知県は「修行の道場」。徳島県最後の23番「薬王寺」から高知県最初の24番礼所「最御崎寺(ほつみさきじ)」まで約75km、歩いたら3日はかかる。太平洋沿いの車道をひたすら歩くという意味で心身が鍛えられる。4県のなかで、最も札所間の距離が離れているところが多い。
足摺岬にある38番「金剛福寺(こんごうふくじ)」。37番「岩本寺」から約80km離れている。とある先達(せんだつ、四国遍路を4回以上まわり、四国八十八ヶ所霊場会より公認を受けた人)に「ヒッチハイクはクセになるから気をつけて」と言われた日が思い出される。お遍路は、ゆっくり歩けば歩くほど気づきが多いのだ。
空海が修業をした洞窟「御蔵洞(みくろど)」。ここから見える空と海の青さに感動し、弘法大師の名を「空海」とつけた。室戸岬の近くにある。
亜熱帯植物性樹林「アコウ」。高知県の沿岸全域に生息し、タコの木とも呼ばれる。室戸市は全域がジオパークに指定されるほど自然が豊かで、寺以外にも見所が多い。
(つづく)
☆プロフィール☆
カメラマン。ハンで押したような日常生活が苦手で、常に変化を求めている。定住の地はいずこ……。