我々日本単独野営協会は定期的にイベントを開催し、清掃活動を行なっています。
毎回特に酷いと思うのは、我々が「焚き逃げ」と呼んでいる、焚き火跡の放置です。
「放っておけば土に帰るからいいじゃん」という人もいますが、焚き火跡に残る炭は炭素という元素です。
元素はそれ以上分解されない安定した物質なので、それが将来的に土に還ることはありません。
「えっ、この前捨てていった炭は無くなってたよ?」という人もいますが、それは我々のようなボランティアが片付けているからです。
また、この話をすると、「炭は植物や農作物を育てるための土壌改良に有効だ」と言う方もいます。
ただ、土壌改良は、用途を考慮し、配合するものの量を調整して行うものであり、焚き火跡の放置のように無計画にバラ撒いていったら、土壌は逆に悪化してしまいます。
そもそもの話ですが、キャンプ地に土壌改良は必要なく、焚き火跡の残骸はただのゴミです。
そこに元々なかったものを持ってきて、焼いて土に還らない状態にして放置するというのは、不法投棄以外の何物でもありません。
不法投棄は誰でも知っている通り犯罪です。犯罪はどんな理屈を言ったとしても正当化することはできないのです。
「後から来た人が使うからいいんじゃない?」と自分が使った石の「かまど」も崩さずに放置する人が居ますが、キャンプスタイルは人それぞれであり、必ずしも後から来た人がその配置とやり方でかまどを使うとは限りません。また、かまどは場所によっては人が躓いたり、車がぶつかったり乗り上げたりして損傷するなどの事故原因となりますので、焚き火の後には必ず崩して石は安全なところに移動し、焚き火跡の燃え残りは全て持ち帰り、地域のゴミ捨てルールに従って処分しましょう。
例えば、私の住む横浜市では、炭は燃やすゴミ、灰は燃えないごみとして処分します。炭と灰の区別をしっかり持つことが重要です。
焚き火をする際は、「スコップ」「火消し壷」を持っていきましょう。スコップは100均の金属製のものでも構いませんし、火消し壷はホームセンターでも安く売っています。徒歩やバイク、自転車などでキャンプに行く方は火消し壷は大きくて持っていけない場合がありますので、その場合はアルミホイルに包んで水をかけて消火し、冷めたらゴミ袋に入れて持ち帰るといいでしょう。具体的な処分方法はお住まいの地域のゴミ捨てルールをご確認いただきたいのですが、少なくとも私の住む横浜市ではアルミホイルと炭は燃やすゴミとして一緒に出すことができるため、家に持ち帰ったらアルミホイルごとそのまま燃やすゴミのゴミ箱にポイっと捨てるだけです。
日本単独野営協会は、「ソロキャンプの健全な普及」のために、全国のキャンプ地に「ゴミのポイ捨て」や「焚き逃げ」などの不法投棄がなくなる日が来るまで諦めず活動を続けて参ります。
そのために、「炭は土に還らない」「不法投棄は犯罪」「自分が捨てたゴミは知らない誰かが苦労して片付けている」という事実を一人でも多くの人に知っていただきたいと思っています。