どうも。オーストラリア在住ライターの柳沢有紀夫です。これから数回にわたってパースとその周辺の魅力を紹介します。第1回は、西オーストラリア州の州都パースの中心部からすぐのところにある「キングスパーク」の「絶景ウォーキングコース」と、そこで「創作活動」を楽しみつつ、「正義のヒーロー」にまで上りつめた話をお伝えしたいと思います!
じつはこのパース、「世界で住みやすい都市ランキング」などで上位に入る常連。で、おそらく住みやすさの理由の一つが、今回訪れる「キングスパーク」です。
「パーク」という名前ですが、全体的に「小高い丘」です。パース市の中心部にあるパース駅からこの展望台まで、直線距離でわずか1.5キロメートル!
こんな裏山があると、日々のウォーキングももっと楽しくなりますよね。それと追って別の回で紹介することになりますが、「夜景」も最高です! とにかくこの「キングスパーク」を歩いてみましょう。
スタート地点は「ブルーボートハウス」
今回のウォーキングのスタート地点は「ブルーボートハウス」。パース中心部を流れるスワン川(というか川幅はもう「湾」と呼びたくなるほど)沿いの道を、西オーストラリア州立大学方面へバスなら10分、歩いても1時間ほどで着きます。
ここはインスタ映えスポットとして有名で、時には数組の列ができるそうですが、私が行ったときは誰もいませんでした。一瞬「ラッキー!」と思ったのですが……逆に誰かに私の写真を撮ってもらえなかった~。涙
はい、そうです。冒頭に登場したヤエンたちと合流するのは後日です。この日のウォーキングは男一人のソロ旅。…一気に興味をなくしたりせず、おつきあいください。本当にいいウォーキングコースですから!
この「ブルーボートハウス」で撮影をしたらスワン川沿いの道路を渡ります。
で、すぐに表れるのが「グロリーステップス」(栄光の階段)!
とにかく、ここからが「キングスパーク」です。すぐに「ローウォーク(Law Walk)」との十字路になるので、そこを右に曲がります。ここが重要です!
山歩きが好きな読者のみなさんなら、ほとんどの方々がこう考えるはず。
「ローウォークがあるってことは…もっと標高が上のところにハイウォークがある? そして、ほぼ並行して走るのであれば、当然標高が高いハイウォークのほうが景色がいいはず!」
確かに「経験則」的に言うとそうですよね。でも、このキングスパークでも標高が上のところにもウォーキングトラックもあったのですが、低木に囲まれほとんど景色が見られませんでした。
さて、この「ローウォーク」というところをパースの中心部のほうに向かって歩いていくわけですが、ところどころに小さな展望台があります。
ここには様々な植物も生えています。というか、このキングスパークには約3000種もの西オーストラリアの固有種が植えられた「ボタニックガーデン(植物園)」もあるのですが…柵があるわけじゃないので、いつ植物園に入ったのかわからなかった。笑
「鳥の視線」が楽しめる高架橋の遊歩道
さらに進んでいくと、左にこんな看板が見えてきます。「右に行くとウォークウェイ入口」というシンプルな案内。「ウォークウェイ? 今までも歩道だったよな?」とサクッと無視しちゃいそうですが…。
ここを右折するとすぐに道は橋になり、左に曲がります。そしてこの先が…。
高架橋をつなぎ合わせた遊歩道! 全長はなんと220メートルもあるんです! サッカーグラウンドのゴールラインからゴールラインまでを往復するくらいの長さです。じつはここ、「ロッタリーウェスト・フェデレーション・ウォークウェイ」という、キングスパークでも特に人気のある遊歩道の一部です。
ちなみに、オーストラリアには各所にこういう「鳥の目線で森を楽しめる高架橋の遊歩道」があります。が、こんなに市街に近く、こんなに長いものは知りません。
ひとつ注意していただきたいのが、この高架橋、午前9時から午後5時までしか開いていないということ。早朝ウォークでは通れないです。
さて、この「キングスパーク」にはもう一つ見どころがあります。それは「DNAタワー」。
ヤエンたちと合流。「アーティスト」になってみた
さてさて、「キングスパーク」には、この3日後にもやってきました。今度は、私を含めて10ヵ国からなる世界各国メディアの取材チームの一員としてです。
冒頭に登場してくれたシンガポール在住の中華系ジャーナリストのヤエン(英語でYa En/中国語で雅恩)も、このチームの一員。そして、冒頭の写真はこのチーム全体で、とあるアクティビティに参加したときに全員が着たもの。というわけで安心してください。ペアルックでもなんでもありません。あたりまえですね。笑
ちなみに、なんでヤエンに登場してもらうことにしたかというと、以前の「『VIVANT』な砂すべり」の記事で「オヤジ一人が写っている記事は痛いほどイタい」ことを痛感したからです。あと、このヤエン、シンガポールからインドネシアまで飛んで2泊3日の登山をするほどの筋金入りの山ガールなんです。
というわけで、「BE-PAL」とも相性がいいかと思い、旅の最後に出演交渉。快諾してくれました。
さて、このチームがキングスパークにやってきた理由。それは先住民アボリジナル(よく知られた「アボリジニ」という言い方は蔑称に感じる人もいて使わないようになっています)の野草などの知恵を学ぶツアーに参加するためです。
アボリジナルのガイドのジャスティンさんは知識が豊富です。「この実や根っこは食べられる」という話だけでなく、たとえば「この葉っぱはすりつぶすと痛み止めになる」とか「この植物は水分が豊富なところにしか育たない。逆に言えばこの植物を見つければ、そのまわりに水源が見つけられる」とか。
ヨーロッパ人に「発見」される18世紀末まで、定住も農耕もせず狩猟採集生活をしてきた彼ら。昔は「原始的」と見られてきましたが、今ではそうした「自然に関する豊かな知恵」が見直されるようになってきています。
そのツアーの途中、前回も通った高架橋を渡りました。
さて、そのツアーの途中で、アボリジナルたちの伝統的な画法の一つである点描画(ドットペインティング)の作成体験をしました。ひとことで言うとお絵描きなんですが……これが意外とおもしろい! というのは、普通の水彩画とか油絵とかと違って「デッサン力」とか「絵心」といった「芸術的才能」がなくても、それなりに形になるからです。
私が骨を描いたのは悪ふざけでもなんでもありません。アボリジナルの画法の一つに、本当は同時に見えるはずがない外観と骨をいっしょに描く「X線画法」というのがあるからです。
だけど、ガイドのジャスティンさんによると、「トップエンド(筆者注:ダーウィンや世界遺産の「カカドゥ国立公園」があるあたり。大陸の北のほう)ではそういう手法があるのは知っているけれども、このあたりでは使わない」とのこと。まあ、オーストラリア大陸は広いですからね。
ちなみに、アボリジナルの言語も「アボリジナル語」とでも呼べるような統一言語はなく、何百種類もあって、極端な話、隣り合う部族間でも通じないこともあるそう。そして、そうした言語の中で、話者がもう一人もいなくなったものが、これまた百を超えるレベルであるのですが、一つ一つの話者がそもそも少なかったことも原因の一つと言えるかもしれません。
一気に「正義のヒーロー」に上りつめてみた。だが…
先ほど書いたようにこの点描画、とても楽しかったのです。で、楽しいと、もっと楽しくしたくなるもの。そこで。
「点描画を描き終わったんで、私の顔に点描画で化粧してくれない?」
ガイドのジャスティンさんにお願いしました。ところが。
「インクは取れにくいからねえ。今日は顔につけるための顔料も持ってきていないし」と素っ気ない返事。それでドヨ~ンと落ち込んでいたのを不憫に思ったのでしょうか。
「あっ。でも腕ならいいよ。洗い流すのも、そう苦労はしないだろうから」
ワオッ! というわけで大喜びでやってもらいました。
すごくいい点描画を描いてくれたので、特撮映画の「正義の味方」風のポーズで写真を撮ってもらいました。
決まった! …と思った瞬間。
「ねえ、ユキ」
ヤエンに声をかけられました。
「ん? なんだ?」
いつもより声を1オクターブ下げた「正義のヒーローボイス」で答える私。
「花の絵を描いてもらって、なんでそのポーズ?」
………………えっ? そっ、そんなわけないだろ~。でも念のため。
「ねえ、ジャスティン。この点描画のモチーフって何?」
「花だよ、もちろん」
…花。「正義のヒーロー」感、ゼロじゃん。
とにかく旅は続きます。あっ、ヤエンも含めてこの旅の画像や動画をアップしていくんで、良かったらインスタ(@yukioyanagisawa)をフォローしてください。
Djurandi Dreaming
今回参加したアボリジナルに関するツアーと点描画体験を提供してくれたツアー会社
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西オーストラリア州政府観光局
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オーストラリア在住ライター(海外書き人クラブ)
柳沢有紀夫